研究概要 |
本研究の目的は,カメラ校正を必要とせず,取得した画像からの情報のみで対象シーンの3次元復元を行う手法を提案し,実験により有効性を検証することである.この目的のために、本年度は、まず,10台程度のCCDカメラにより構成される多視点カメラシステムを構築した.これらは,複数のPCに接続され,640×480画素のデジタルカラー画像としてPCのメモリに取り込まれる仕組みになっている.次に,上記の多視点カメラから,カメラ校正を必要としない射影グリッド空間法を適用した3次元復元アルゴリズムとアピアランスベース法によるレンダリングアルゴリズムを構築した.これまでに行ってきた研究では,各カメラにおいて撮影された対象物体のシルエットを検出し,3次元構造を復元する体積空間の各点毎にシルエットの内外判定を行う手法を用いた.しかし,この方法では復元できる形状の複雑さに限界があるため,シルエットのみではなく,従来のステレオマッチングで利用されているような,画像の濃度パターンに基づいた手法を導入し,より複雑な形状の復元が行えるアルゴリズムを考案した.さらに,上記の3次元復元アルゴリズムの構築に加え,復元された現実3次元形状を仮想物体や,他の現実3次元形状と融合させるためのアルゴリズムを構築した.本研究で利用する射影グリッド空間は射影3次元空間であるため,通常のユークリッド3次元空間における3次元物体の融合とは異なり,射影の原点の整合性をとりながら融合する必要があった.このためには,一旦2次元画像に投影した2次元パターンとして融合する必要があり,これを効率的に行うアルゴリズムを構築した.
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