研究概要 |
(1)外眼筋モデルの基礎となる骨格筋の張力発生モデルの構築 骨格筋に神経インパルスが入力すると,筋小胞体の働きによりCa^<2+>濃度が上昇し,筋の収縮が実現する.分子,イオンの結合と解離を表す状態遷移確率モデルから,ハーフサルコメア内に含まれる筋小胞体の(1)Caバッファ,(2)Caチャネル,(3)Caポンプの各振る舞いを表現する筋小胞体モデルを提案した.筋細胞内Ca^<2+>濃度から筋収縮までのプロセスを表すモデルは,すでに構築しているので,分子・イオンの結合,解離の状態遷移を用いて,統一的な概念によって,神経インパルスの到着から筋張力発生までの一連のプロセスが表現されたことになる.本骨格筋モデルから,外眼筋の振る舞いを検討することは次の課題である. (2)視覚心理実験による視覚情報獲得機構に関する研究 動的テキスチャの一部に周辺とは異なるテキスチャの小領域を設け,その小領域が視野周辺部にくるよう被験者に呈示するとき,小領域が周辺テキスチャに充填され消失するように知覚されるfilling-inの現象がある.本研究では,filling-inの現象から視覚情報の獲得機構を調べるため,様々な時空間周波数特性を持つ動的テキスチャを被験者に呈示した際のfilling-inが起きるまでの時間を計測した.実験後の被験者による主観的な報告に基づいて,動的テキスチャが持つ時間的,空間的な知覚のパワーによりfilling-inの発生を説明するモデルを提案した.提案モデルにfilling-in時間の計測結果を適用し,モデルの妥当性を示した.
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