エネルギーシステムの運用最適化問題では、運用および停止を0-1変数として定式化する場合が多い。そのため、混合整数計画問題になる。本年度はまず、この問題に高速解法として注目されている内点法を適用した手法について検討した。内点法はコールドスタートで線形計画問題を効率的に解くものの、ホットスタートではあまり効果がない。それに対して、従来から用いられている単体法はホットスタートが有効である。そこで、分枝限定法の枠組みの最初の緩和問題を内点法で解き、下位の部分問題を単体法で解くハイブリッド手法を用いた。内点法の解から下位の問題の有効な初期端点を導出する手法を適用することにより、部分問題数を削減できることを定性的に示した。エネルギーシステム運用問題の一つであるコージェネレーション運用問題での数値実験により、最初の緩和問題の計算時間ならびに部分問題の生成数を削減できることを確認した。 また、最適運用問題は複数の時間帯における運用量を決定する問題となるため、時間帯ごとの制約式はほぼ同じ構造をもっている。これに起動や停止、または運転量の増加量の上限制約のように複数の時間帯の変数に関係する動的制約が加わる。このため制約行列は、時間帯毎のブロック対角行列と動的制約の行列から構成される。このブロックアンギュラー構造を利用した高速化についても検討し、内点法の移動方向を高速化した手法を提案した。簡単な問題に対して数値実験を行った結果、24時間モデルで数割程度の計算時問の短縮が確認できた。
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