研究概要 |
平成13年度は,3次元CT像から腎臓と肝臓の各領域を自動抽出する処理を開発した.これらの処理では,臓器影に関する様々な知識(特徴量)を集めたデータベースを利用するため,本年度は最初にデータベースの作成を行ない,続いて臓器影の抽出手法の開発を行なった.以下ではそれぞれの詳細について述べる. (1)データベースの作成 まず,設計用に用意した3次元CT像内の臓器影を手入力によって抽出した.次に,この領域に対して様々な特徴量を測定し,それらを症例ごとにデータベースに蓄積した.具体的には,入力図形のアフィン変形に対して値が不変である特徴量,例えぱ輪郭面の表面積や輪郭面上の曲率,領域の周辺や内部の濃度分布などを測定し,蓄積した.また,それらから平均的な形状や濃淡分布を導き,これらも併せてデータベースに保存した. (2)臓器影認識処理の開発 適当な関数によって表現された臓器表面のモデルを,ある評価関数を最小化するように変形して臓器の表面を抽出する手法を開発した.この処理において問題となるのが,初期モデルの形状,大きさ,配置方法であり,さらにはモデルの変形を決める評価関数である.本研究では,入力される臓器影の大きさや形状のばらつきに対して処理性能が頑強になるように,データベースに蓄積された知識を有効活用して抽出を行なう手法を開発した. (3)開発した手法の性能評価 腎臓を含む腹部CT像33例を用いて開発した腎臓抽出手法の性能を評価した.抽出された領域と手入力領域との一致の程度を評価したところ,大まかには9割の症例でほぼ満足の行く結果が得られる事が知られた.また,肝臓の抽出手法についても16例の実際の腹部CT像を用いて性能を評価したところ,一部に領域の欠損や過抽出が見られたが,おおよそ良好な結果が得られる事が確認された.
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