蛍光やエレクトロルミネッセンスを利用したDNAやタンパク質の観察のためには、これらの物質が溶液中で安定に存在することおよびDNAと結合させることが出来ることが必要である。本研究ではCdSおよびZnSのコアの外側に化学的に安定なSiO2層を有する構造のナノパーティクルを合成する方法を検討した。この構造ではSiO2の層が保護膜として機能するだけでなく、SiO2に化学的修飾を施すことにより、DNAやタンパク質と特異的に結合させることが可能になる。 合成したCdSおよびZnSナノパーティクルの表面上にMPSをプライマーとしてSiO2を堆積させた。合成されたナノパーティクルは溶液中で長時間安定に存在できることが確認された。また、CdSおよびZnSのコアにCuをドープすることで電界発光を有する微粒子を合成することを試みたが、電界発光は観測されなかった。また、ジメチルジクロロシラン処理を行った疎水性のガラス表面がメルカプト基と特異的に結合することが明らかになった。このことは、SiO2シェルを有するナノパーティクルをジメチルジクロロシラン処理することによって、末端にSH基を修飾したDNAを、全体的な吸着を防止しつつナノパーティクルに結合させることが可能であることを示唆している。
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