研究概要 |
本年度、北極海の音波伝搬を計算するため、新しい計算アルゴリズムの広角波動伝搬を使用して,海水中を伝搬する音波のシミュレーションを行った。北極海表面を覆う氷の音波伝搬に与える影響を考慮し,従来の氷を流体と見なす方法から弾性体としたより正確な計算方法を確立した。この手法を導入する事により正確な北極海での音波伝搬プログラムが開発できると言える。またパルス波の伝搬計算を行い,海表の氷や温度や塩分濃度といった海洋内部構造による影響を調べる事で海洋音響トモグラフィにおける順問題解析を高精度で行うことができる。以上の手法についてプログラムを作成し,浅海での伝搬特性の解析結果について検討した。 (1)近年良く報告されている浅い海(浅海)での音波伝搬特性を計算した。その結果、基準となる解析例と良く一致し,本開発手法の有効性が確認された。 (2)浅海の基準解析手法として時間領域差分法による音波伝搬解析法を開発し,連続波のみならずパルス波の伝搬解析を行った。時間領域差分法(FDTD法)を用いて高い精度で音波伝搬をシミュレートすることが出来る。その結果、計算精度の高いこと、さらに、反射波の影響も求めることが出来る事を確認した。 これらの結果については、世界音響会議(ICA)や海洋音響学会誌に報告した。
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