研究概要 |
本年度は,シーケンス制御の代数的設計法の基礎理論を確立し,計算機を用いて自動設計システム(CAD)のプロトタイプを開発した.具体的には,(1)IF-THENルールの論理関数によりモデリングした制御対象を等価な有限体上のモデルに自動変換し,(2)これにより有限体上の非線形多項式システムとして表現された制御対象に対して,グレブナ基底を利用して逆システムを求め,(3)目標状態および実状態の関数として入力系列を代数的に求めることができた.すなわち非線形フィードバックの関数として制御則を求めることができた.(4)その後,有限体上の非線形関数として求められた制御則をIF-THENルールの論理関数へ自動変換することで,ラダー図などの制御言語表現へと変換が可能となる.特に大きな成果として,(2)の逆システムを求める理論およびアルゴリズムに関して,画期的な手法を提案することができた.提案した手法は,有限体上の対象に限らず,任意の体上で表現された多項式非線形システムに適用可能なものとなった.そのアルゴリズムは以下のようになる.まず,差分方程式で表された制御対象に対して適当な進み時間を導入する.次に,その拡大差分方程式をイデアルとして捕らえ,適当な項順序でグレブナ基底を求める.すると,入力を先頭項とする方程式にシステムが等価変換される.方程式を入力変数について解けば,代数的に表現された制御則が求まる.このことは,拡大システムに対して逆システムを求めたことと等価になっている.また,本手法の中でグレブナ基底を求める計算の計算量が非常に大きいことが判明し,その計算量を低減する手法の提案も行った.以上の成果を,電気学会研究会にて発表した.また,関連した応用研究として,シーケンス制御則の信頼性向上の研究,分散実装の研究を行い,それぞれ電気学会電子情報システム部門大会,産業応用部門大会にて成果発表を行った.
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