研究概要 |
本研究により,以下の成果が得られた. 1.スーパバイザが一部の事象の生起のみを観測できる部分観測のもとでのスーパバイザ制御について考察した.まず言語の可観測性の十分条件として弱ノーマル性を定義した.この弱ノーマル性は従来提案されていたノーマル性よりも緩い条件であり,しかもノーマル性と同様に,言語の和に関して閉じているという望ましい性質をもつ.そして,与えられた言語の最大弱ノーマル部分言語の計算手続きを与え,それをノンブロッキングな部分観測スーパバイザの構成に応用した. 2.制御対象である離散事象システムを複数のローカルスーパバイザで制御する分散スーパバイザ制御について考察した.各ローカルスーパバイザは可観測事象の一部のみを観測するため,それぞれは部分観測スーパバイザとなる.そこで,本研究で提案した言語の弱ノーマル性を分散スーパバイザ制御の場合に拡張した.そしてこの拡張された弱ノーマル性も言語の和に関して閉じているという望ましい性質をもつことを示した.さらに,最大弱ノーマル部分言語を用いて,ノンブロッキングな分散スーパバイザが構成できることを明らかにした. 3.完全観測のもとでのスーパバイザ制御において,最大許容スーパバイザのロバスト性について考察した.まず,任意の最大許容スーパバイザに対して,閉ループシステムで制御仕様が達成されるシステムのクラスを明らかにした.そしで,制御仕様が達成されるシステムのクラスが最大になるという意味で最適な最大許容スーパバイザが常に存在することを明らかにし,そのような最適な最大許容スーパバイザを構成するための多項式オーダのアルゴリズムを提案した.
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