研究概要 |
近年,複数のCPUを搭載したコンピュータが安価に入手できるようになったが,多くの制御系CAIソフトウェアは,単一CPUを搭載したコンピュータで使用することを仮定して開発されているので,マルチCPUが搭載されていても,1個のCPUしか利用できない。 本研究では,マルチCPUを活用する並列処理,およびネットワークに接続されたコンピュータを活用する分散処理を実現することにより,制御系の解析,設計,シミュレーションを効率的に学習できるCAIシステムを開発することを目的とする。並列処理に伴うオーバーヘッドを見積もり,並列化する処理を決定するため、実際にシステムを構築し,並列化による効率を調べ,並列計算モデルについて検討した。具体的には, (1)マルチCPU環境の構築: 申請したDual CPUパーソナルコンピュータとノート型コンピュータに無線LANアダプタを取り付け,無線LANアクセスポイントを介してネットワーク接続し,マルチCPU環境を構築した。学習者がネットワークを介して,CAIシステムを利用できるプロトタイプ環境を実現した。 (2)制御系並列計算モデルの設計: 制御系設計に必要な計算処理を,ユーザプログラム処理,制御系設計処理,数値計算処理,基本型計算処理等に分類し,多階層からなる制御系設計並列計算モデルを検討した。 (3)基本型並列計算エンジンの開発: 申請者が開発した科学技術計算ソフトウェア(Ma TX)を申請した開発ソフトウェアを用い,申請したパーソナルコンピュータ上で稼働するOSに移植した。そして,行列演算など基本型計算を実行する並列化ルーチンを開発した。
|