研究概要 |
平成13年度は以下の課題について研究を推進した. 1.3次元線形化欠陥形状再構成法の基盤部の開発を行った. 3次元の欠陥形状を再構成する逆散乱法を定式化し,供試体内に作成した人工欠陥からの散乱振幅を計測し,その測定した散乱振幅波形より供試体内の3次元欠陥形状を再構成できることを示した. 2.100KHz磁歪センサーの開発と波形計測を行った. コンクリート構造物に適用する目的でフェライトの磁歪現象を利用した100KHz域磁歪センサーを製作した.そしてセメントペースト製試験体を用いて発生した超音波の測定を行い受信時間波形および周波特性について検討を行った.その結果,作成した磁歪センサーを用いた超音波の波形は,磁歪振動子本体の共振の影響により長時間振動が続く波形となることがわかった.今後製作した磁歪センサーを上述の線形逆散乱法に用いるためには広帯域な周波数特性を持つ必要がある.そのためこの共振を減少させ,広帯域な周波数特性を持つ波形をるため,以下の3つの方法を試みた. ・フェライト製コアの一端に鉛片を取り付けてダンパーとする. ・センサーのケーシング内をタングステン粉末を混ぜたエポキシ樹脂で充填し共振を抑える. ・共振周波数100KHzの周波数成分を含まない50KHzの1周期のsin波で駆動する. その結果,磁歪センサーに鉛製ダンパーを取り付けることにより,ある程度共振を抑制することができることがわかった.このことより狭帯域の圧電型センサーと同程度の周波数特性を得ることができ,作成した磁歪センサーで超音波の送・受信が可能となった.
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