研究概要 |
鋼橋は主に腐食や疲労によって劣化する.特に,海浜地域や凍結防止剤が散布される地域では,疲労損傷に加え,腐食損傷の進行が深刻な問題となっている.これらの損傷は年々増加しており,今後,高度経済成長期に建設された膨大な数の鋼橋の老朽化が懸念される.そこで,本研究では鋼橋を安全かつ経済的に維持管理するために,新開発した腐食促進実験装置を用いて疲労と腐食による耐久性低下のメカニズムを明らかにした上で,耐久性を精度良く評価する手法を確立する.また,疲労損傷と腐食損傷の双方に対して合理的な補修・補強方法を確立する. 本年度は暴露試験データの収集・整理,および構造材料・部材の腐食環境促進実験を行った.以下に,これらの検討項目の概要について示す. 1.自然環境下における大気暴露試験データの収集・整理:これまで,実橋測定データが十分に蓄積されていないため,地形および地域別に行われた自然環境下における大気暴露試験データを収集・整理した.ここでは,腐食の進行度を試験体の重量減少量を測定することで評価した. 2.構造材料・部材の腐食促進実験:(1)の腐食環境をシミュレートした複合サイクル腐食促進実験を構造材料と溶接継手を用いることで行った.実験終了後の試験体の腐食ピットをレーザー深度計により測定することで,経時的な腐食特性を定量的に明らかにした.また,(1)と(2)の試験体の腐食性状から本実験でシミュレート可能な地域環境を明らかにした.
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