本研究では、鋼製ラーメン橋脚を対象として、その地震時応答性状および弾塑性挙動を明らかにするために、実橋脚を縮小して、座屈パラメータをほぼ等しくした供試体を製作し、面内方向におけるハイブリッド実験を行った。 対象橋脚の上部構造は3径間連続の鋼床版箱桁であり、本載荷では鋼製ラーメン橋脚の復元力特性として1つの水平変位と水平荷重の関係が得られるため、橋脚を等価な質量を有する1質点系にモデル化した。そして、載荷実験により得られた復元力の値を逐次参照しながらその運動方程式を中央差分法により解いた。ここで、橋脚の質量は等価質量として1590ton、減衰定数は2%、積分時間間隔は0.01secとした。また、剛性が1.6MN/cmより、橋脚の等価固有周期は0.63secであった。ここで、対象橋脚はIII種地盤上に設置されているため、兵庫県南部地震において東神戸大橋で記録された加速度波形を、道路橋示方書に規定された加速度応答スペクトルに一致するよう波形を調整した入力地震波形を用いた。そして、この振幅を1倍、2倍、3倍と増幅させた波形を同一供試体に入力し、損傷レベルの違いによる鋼製ラーメン橋脚の地震時応答性状について検討した。 その結果、鋼製ラーメン橋脚は、初期降伏から最大耐荷力にいたる余剰耐力が降伏荷重の2.8倍と大きく強度に優れている。また、最大耐荷力時の応答変位も降伏変位の9倍と大きく、最大耐荷力後も緩やかに劣化していることから変形性能にも優れている。対象とした鋼製ラーメン橋脚は兵庫県南部地震クラスの地震に対しても降伏変位の3.3倍の最大応答変位を生じる程度で大きな損傷は観られず、十分な耐震性能を有している。したがって、対象としたラーメン橋脚は、兵庫県南部地震クラスの地震に対しても大きな損傷は見られず、十分な耐震性能を有しており、強度、変形性能にも優れている事が明らかとなった。
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