研究概要 |
本研究の目的は、繊維強化型複合材料の一次土木構造材料としての適用性を調べるために、その力学的挙動を把握することにある。本年度は本研究代表者らが提案する離散的近似解法を用い、平面板にわずかに曲率をつけた偏平シェル構造にも扱える解析プログラムを作成し、曲面形状の変化などによる積層偏平シェルの弾塑性曲げ挙動特性を明らかにした。さらに、自由振動問題に関しては、離散的近似解法を用いた自由振動解析プログラムを作成し、一方向炭素繊維強化材を重ねたCFRPとガラスクロス強化材によるGFRPから成る試験片を用いて、レーザホログラフィを利用した実験結果と振動モードを比較することにより、積層構造の自由振動特性を明らかにした。得られた結果は、以下に示すとおりである。 1.まず、積層偏平シェルの弾塑性曲げ解析においては、有限要素法により求めた弾塑性曲げ挙動と同様な結果を示したことから、本解析法の有効性を確認した。 2.曲面形状の変化による弾塑性曲げ挙動は、単純支持(ピン支持)としたため、E.P,シェルとH.P.シェルは同様な挙動を示し、ガウス曲率がゼロのC.シェルの剛性が最も低い結果となった。また、対称、逆対称などの積層順序の違いによる弾塑性挙動についてはあまり差異が見られなかったが、カップリング剛性の有無により、塑性域の進行状況に違いが現れた。 3.次に、積層板の自由振動解析においては、本解析法による結果は、レーザホログラフィを利用した実験結果と振動モードを比較すると、一方向強化材を重ねたCFRPおよびクロス強化材によるGFRPから成る試験片とも、実験結果とほぼ一致した結果が得られた。 4.また、積層順序を変化させたクロスプライ積層板の解析では、対称積層、逆対称積層により振動モードの出現順序が違ってくる結果が出ており、実験においても同様の傾向を得た。
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