波浪場のような種々の載荷条件下にある地盤の支持力-変形特性に与える堆積構造異方性の影響を定量的に評価するために、一連の模型実験を行った。特に、今年度は新たに制作した多方向荷重載荷装置を用いて、静的荷重場及び繰返し荷重場にある構造物-地盤系の支持力・変形特性の基礎資料を収集している。得られた結果は、以下のようである。 (1)最大主応力方向と堆積面とのなす角ψは、異方性を表すパラメータとして有効である。特に、本試験で行った静的中心、偏心載荷試験ではψ≒40°付近において支持力値の極小値がみられ、その後増加する傾向がみられた。 (2)提案している土量比とψの関係は、異方性による支持力の変化傾向を良く説明する。この関係は、支持力機構を評価する上で有効なものとなりうる。 (3)波浪のような繰返し載荷試験においても、静的試験と同様に異方性の影響による激しい繰返し強度の変化がみられた。 (4)静的及び繰返し載荷条件の違いに起因する側方変形挙動の変化は認められないが、異方性の与える影響は大きい。また側方変形量と不同沈下量の関係において、一義的な関係が存在する。 (5)堆積構造異方性を考慮した側方変位量推定法は、実際の海洋構造物-地盤系の側方変形挙動をある程度適切に推定できる。 (6)波浪のような繰返し荷重条件下にある構造物-地盤系では、M-V空間の破壊基準を用いることによって、支持力を適切に評価できる。これらの破壊基準は、地盤の異方性や地盤の密度を考慮できる式としても有用である。
|