研究概要 |
本年度は,火山角礫岩における「礫率の評価」と「力学特性」について検討した。 「礫率の評価」では,まず原位置地盤における2次元的な礫分布特性を,小スケールでは詳細なスケッチにより,大スケールでは撮影した写真からトレースすることによって求めた。これらを画像処理により2値化することにより,2次元での礫径ごとの頻度分布を得た。その結果,50mm以下の直径を有する礫数の分布はフラクタル的であるが,それ以上の礫径を有する礫数はフラクタルで予測される値よりも少ないことが判明した。さらにステレオロジーを用いて3次元的な礫径分布を求めた。この分布を有する三次元モデルを作成し,「力学特性」で用いる円柱供試体に対する礫率に対する寸法効果の検討や人為的な偏りの影響を統計的に評価した。 「力学特性」については,円柱供試体の外周面における面積礫率の異なる火山角礫岩試料を多数準備し,室内三軸圧縮試験(圧密非排水条件)を実施した。供試体直径は,10cm,20cm,30cmのものを準備し,拘束圧は対象岩盤構造物の設計に必要な土被り圧を考慮して4MPaまで5段階に設定した。試験した供試体の面積礫率は7〜50%の範囲にあった。試験結果を整理することにより,強度定数への礫率の影響,2相混合材料としての平均的な弾性定数への礫率の影響,供試体に含まれる最大礫径のせん断強度への影響,寸法効果などに関して,多くの有用な知見が得られた。 次年度は,室内三軸圧縮試験で得られた試料を用いて,礫率と拘束圧の破壊モードへの影響について検討するとともに,原位置岩盤試験結果と比較し,評価手法の提案を試みる。
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