研究概要 |
本研究は,近年研究開発が活発に行われている土壌・地下水汚染対策において課題とされている浄化効果の信頼性の評価,および効率的な浄化設計手法の確立を目的として,(1)地盤の不均質性が浄化効果に与える影響および浄化対策工の長期安定性の検討,(2)リスク評価に基づく地盤汚染対策効果の定量的評価の観点から検討を行うものである。今年度に得られた成果は以下の通りである。 1.地盤の不均質性が浄化効果に与える影響および浄化対策工の長期安定性の評価 重金属汚染土のセメント固化処理に着目し,固化処理土に対して長期に渡る透水試験やタンクリーチング試験等の溶出試験,および中性化の促進試験等を実施し,重金属封じ込め効果の長期安定性とその評価方法について実験的検討を行った。その結果,溶出特性への主な影響要因は把握できたものの,適切なモデル化手法や試験方法については次年度以降の更なる検討が必要である。 2.リスク評価に基づく地盤汚染対策効果の定量的評価 ある汚染サイトを対象として,遮水壁を用いた封じ込め対策工による環境リスクの低減効果の定量化を行った。有害物質の移動経路として想定された地下水,大気,土壌の各媒体における有害物質の存在量と長期的な移動特性を数値解析,数学モデルによって推定を行った。さらに,この結果に基づいて汚染サイトに起因する環境リスクを算出し,対策工の施工による環境リスクの低減量をその効果として定量化を実施した。また,廃棄物処分場の遮水工構造を対象として,その性能を有害物質漏出の低減量というリスク評価的な観点から評価し,適正構造の提案を行った。
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