研究概要 |
本研究は、研究代表者が開発した電気泳動・拡散数値計算コードを電気浸透やそのほかの土壌・地下水環境で起こりうる反応を取り込んだ汎用性の高いコードへ改良することと、改良された数値計算コードの適用性を検証するための実験データの取得、さらに実験結果と数値計算結果の比較による適用性の検討を目的とした。 平成13年度には、数値計算コードの改良を行った。従来の電気泳動・拡散数値計算コードでは化学反応項を推定する方法に、非線形最小二乗法を用いていたが、この方法では適切な解が得られないことが想定された。そのため化学反応項の推定部分に、遺伝的アルゴリズムやSCE-UA法などの大域的探索手法を用いる方法を提案した。この方法は陽イオン交換反応を考慮した数値計算コードとして作成し、従前に行われた室内カラム実験の結果と比較し、SCE-UA法が非線形最小二乗法の代替手法として用いることができる可能性が示唆された。 平成14年度には、数値計算コードの検証に用いる実験データの取得に関して、電気化学的修復法そのものの水理化学的特性の把握も含めて検討した。電気化学的処理を施した場合の重金属やその他の土壌中化学種の動態について比較し,透水性や粘土含量の影響,また物質移動に寄与するメカニズムについて実験的に考察し、同時に実験結果を数値計算コードの検証に用いることを目的とした。実験からは透水性が高く粘土含量が低い土壌条件で,この手法が有効であるということが分かった。また,電気泳動速度,電気浸透流速および水圧による流速を評価した結果,電気泳動が、最もイオン輸送に効くことが明らかとなった. 現段階では数値計算コードの完成に至っていないが、重金属の表面錯形成反応と陽イオン交換反応を考慮したモジュールを完成しており、この成果を踏まえ直ちに電気化学的修復モデルを完成させる。
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