研究概要 |
初年度は,主にメコン河を対象に大スケールの水資源,流出モデルの構築を試みた. 水資源モデルは,タイ,ラオス,ミャンマー国境地点からカンボジア,ラオス国境までの約35万km_2を集中化して構築された.基本式は,各水文過程で構成される水収支式である.各水文過程はタイとベトナムを対象として開発された土地利用に対応した推定式を用いた.水需要は,人口と一人当り水需要量と都市域の関係から推定された.その結果,乾季流量でも倍の人口に水が供給できること,灌漑開発が進むと年間6ヶ月が水不足になることが理解された.また,乾季は,わずかな灌漑面積拡大においても,水不足を引き起こすことが理解された.同時に利根川流域についても同様の解析を行い日本の場合は,都市用水の比重が大きいことが確認された. 分布型流出モデルの作成も行った.標高データから擬似河道を窪地処理して作成した.水文過程のパラメータを正方領域で与えるブロック型の集中モデルと,河道内計算を質量保存則で解くマスキンガム法を採用したBTOP-MCモデルによって10年間の流出計算を行った.その結果,推定誤差として人為的な貯留操作,主に水田と貯水池の効果の大きいことが認められ,土地利用とリモートセンシングを用いた水田域の貯留効果の推定式と降水量を考慮した貯水池操作モデル提案された.この提案モデルについては,2年目で検定する予定である.
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