| 研究概要 |
本年度は,湾曲・分岐・合流部を有する河川・水路網を遡上する津波の基本伝播特性解明の第一段階として、各種の水路網を対象に以下の検討を実施した.
(1)水路湾曲部における孤立波のマッハ反射特性の解析
まず,入射波高および水路の形状(水路幅,曲率,湾曲角)を変化させて,体系的な数値解析を実施し,同心円状の湾曲部を有する曲水路を孤立波が伝播する際の波浪の伝播特性,最大波峯高およびその空間分布特性を解明した.特に,水路幅が十分に大きい曲水路を波浪が伝播する際に発達するステム波(マッハ反射)に着目した解析を行い,直線壁に沿った孤立波のマッハ反射特性との類似・相違点を明らかにした.
(2)水路分岐部における孤立波の分裂特性の解析
次に,(1)で用いた解析プログラムを,分岐・合流部を有する水路網に適用できるように拡張して体系的な数値解析を実施し,y字型の分岐水路を対象に分岐通過後の透過波高と水路形状との関連を明らかにした.また,平面波動水槽と水路模型を用いた室内実験を合わせて行い,解析結果と実験結果を比較した結果,解析手法およびその結果が定性的並びに定量的検討に十分な精度を有することを検証した.
(3)水路合流部における孤立波の衝突特性の解析
さらに,y字型の合流部を有する水路を対象に合流部における2つの孤立波の衝突過程を詳細に解析し,入射波高および水路形状と壁面での最大波峯高との関連を明らかにした.また,(2)と同様な室内実験を実施し,解析手法およびその結果が定性的並びに定量的検討に十分な精度を有することを検証した.
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