研究概要 |
本研究は,強風・高波浪の来襲する荒天時を対象とした現地観測の実施,現地観測データの収集を通じて,流動場と外力との関係を検討するに必要となるデータセットの構築を進め,流動場と風域場および波浪場との関係について,特に浅海域を対象として検討するものである.さらに,浅海域における海面抵抗の評価に波浪の効果を導入し,広域海浜流モデル,高潮モデルにおいて重要となる風によるせん断応力の評価に新たな提案を試みるものである. 平成13年度には,京都大学防災研究所災害観測実験センターの大潟波浪観測所の観測桟橋を援用した現地観測,さらに岐阜大学と共同で実施された波浪風洞水槽を用いた室内実験の結果に関する解析が行われた.このうち,波浪風洞水槽を用いた室内実験より,風・波共存場における風から流動場へのエネルギー伝達が,風,波単独の条件下よりも促進される結果が得られ,これらの成果は海岸工学論文集に投稿されている.大潟波浪観測所周辺海域での現地観測は,平成14年1月から3月にかけての冬季風浪時を対象に実施されており,波浪,海上風,流速の鉛直分布などの時系列が計測されているほか,空間的な波浪場,表層の流動場の観測が可能なHFレーダを用いた観測が並行して進められている.現在これら観測結果が集められつつある状況であり,観測全体としてのデータセットとして整理されるとともに,流動場と外力条件との関係に関する解析が進行中である.
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