Kalman Filterによる土壌水分データ同化システムを検証するために、琵琶湖流域で土壌水分量と地表面温度の連続観測を開始した。観測システムは土壌水分センサー、地温センサー、放射温度計、データロガー、太陽電池電源装置で構成されている。琵琶湖プロジェクトでは常設熱収支観測システムが稼動しているので、陸面過程モデルを駆動し、検証するためのデータが豊富である。 GMSデータをシステムに導入する際にまず問題になるのは、雲域の除去である。GMS画像の中で半分近くは雲の情報である。雲の温度を陸面モデルに与えると、土壌水分が誤った値に修正されてしまう。雲を含んでいる可能性のあるピクセルを全て除去することはできるが、そうするとデータ同化に使用できる情報が少なくなる。本研究では、水蒸気チャンネルや可視チャンネルも併用して、データ同化システムに与える情報量をなるべく多く残せるような雲域除去法を現在検討している。 GMSデータの情報は約5km四方の領域の平均値である。1つのピクセル内の地表が均一な場合にはそれほど問題にならないが、植生と裸地が混在している場合には、これらの平均温度を観測していることになる。本研究では、GMSで得られるピクセルの平均値からキャノピーと地面の温度に分解する手法について検討している。 本研究の最終的な目標であるオペレーショナルな運用を実現するために、GMSデータとモデル(気象モデルも含む)の中の情報だけでこれらの問題を解決できるように、システムを構成しなければならないが、現時点ではまだ有効な手法を確立するには至っていないので、次年度も引き続き検討する。
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