本研究は港湾に関わる各種施策が港湾管理者、船社、荷主といった港湾関連主体の行動にどのような変化を生じさせ、その結果各主体、さらには消費者・労働者等地域経済、国民経済にどのような影響を及ぼすかを定量的に示そうとするものである。 まず荷主の行動について、平成10年に行われた全国コンテナ流動調査を用いて本研究では、Nested Logitモデルを適用し、国際コンテナ荷主の行動を定量的に把握し考察を行った。結果として荷主の国内輸送機関選択要因は所要時間の影響が大きく、内航海運の所要時間短縮を行うことがモーダルシフトとCO2排出量削減に有効であるということが明らかになった。そして所要時間の影響は年々大きくなる傾向にある。また、荷主の国際港湾選択要因は、国際航海日数の影響が大きく、輸出入国・地域別で見た港湾選択割合の違いは各国・地域の品目構成に影響を受けるという結果を得た。 また船社の行動について、航路別に見ると東南アジア・韓国航路は地方港における週間寄港頻度の増加が、長距離航路では船舶大型化による寄港頻度の減少が特徴的であることが明らかになった。またいずれの航路においても日本国内の寄港地は年々増加傾向にあり、開設航路は地方分散化傾向にある事を確認した。 本研究の中では中枢港、中核港、地方港のそれぞれの港湾整備に対し、その後背圏と、それ以外の地域に対する影響を分析対象としたケーススタディを試みた結果、地方港の整備によりモーダルシフトや利用港分散によって費用削減、環境影響の低下効果が見られるものの、基幹航路のサービスレベル低下などによる経済的なマイナス効果が無視出来ないことが分かった。
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