研究概要 |
本研究では,機会の平等の意味での公平性の視点から,国土計画のあり方を検討することを目的としている.今年度の成果は次の通りである. 1)我が国におけるこれまでの各種計画において,地域間格差の問題がいかに捉えられ,そのためにいかなる政策が採用されてきたかについて,文献調査を行った,具体的には,全国総合開発計画,経済計画のほかに,社会資本整備に関わる長期計画(道路整備5ヵ年計画など)や地方交付税交付金制度などの地方財政制度を検討し,必ずしも「機会の平等」と直接的には明記されていないものの,様々な計画の背後で考慮されていたことがわかった. 2)最近の厚生経済学における研究成果のレビューを通じて,機会の平等,結果の平等,必要に応じた配分,貢献に応じた配分,といった各種規範の整理を行った.また,それらの考え方を国土計画の文脈で検討するための理論モデルのプロトタイプを構築した.ただし,数学的取扱いが容易でないことが判明したため,本年度初頭に想定していた数値シミュレーションモデルのプロトタイプの構築までは進まなかった.
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