研究概要 |
本研究は室内実験により,高速道路走行車両に対する危険回避情報提供手法のあり方を検討するもので、具体的には霧発生時の情報支援効果を分析した.実験は、車載ナピゲーション画面相当の情報提供ディスプレイ(以下:ディスプレイ)を搭載したドライビングシミュレータを用いて実施した.ここで,ディスプレイには,道路線形・自車両・周辺車両の状況をリアルタイムの画像情報として提示するとともに,走行速度(km/h)、前方車両との距離(m),後方車両との距離(m),走行位置(kp)を数値情報として提示し.さらに,音声として前方車両接近警告音と障害物接近警告音を提示した. 収集したデータは,速度,アクセル・ブレーキ使用量,前方車両との車間距離,車線内走行位置,ドライバーの視線移動,心拍数である.また実験後,被験者に対しヒアリングを行い,運転挙動に至る一連の認知・判断のデータを取得している. ヒアリング結果を分析したところ、霧発生時においては,前方車両に関する情報の不足,前方の道路線形に関する情報の不足,前方障害物に関する情報の不足の3点が,安全走行に対して大きく影響を与えていることが分かった.つまりこの3点についてドライバーが情報提供を受けることにより走行が支援されると考えた. 実際に,前方車両への支援に関しては,前方車両がいないことを把握することによって,追突事故の要因ともなる過度な速度抑制が緩和されることが確認された.また,前方車両の接近過程においては,過度な接近が緩和され,前方車両との速度差が減少することで安全性が向上することが確認された. 道路線形への支援に関しては、運転負担度(ハンドル操作量)と車線逸脱の観点から評価した結果,早い段階での対応が可能になる被験者が多く見られた. 最後に,障害物への支援に関しては,情報提供しない場合には全ての被験者が障害物に衝突したのに対し,情報を提供することによって障害物を回避できることが確認された.
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