研究概要 |
本年度は,以下の(1)から(5)の手順で研究を進めている.(1)分析対象地域である東京都,埼玉県,千葉県,茨城県の東京地下鉄8号線沿線地域における鉄道ネットワーク,局地道路ネットワーク,バスネットワークを作成する.(2)作成したネットワークを利用して経路探索を行い,本分析の基になる各種属性データを作成する.(3)それらの属性データと公示地価データ等から本研究で定義しているアクセシビリティ指標を計算し,各メッシュからの通勤利便性を計測する.(4)アクセシビリティ指標とその他の属性データ(土地利用,用途地域,人口等)との関係を100mメッシュ単位で分析する.(5)アクセシビリティ指標を用いて,東京地下鉄8号線開通後のシミュレーション分析を行う. これらの分析から以下の成果を得ている.一つ目は,筆者らが提案している首都圏鉄道計画支援システムを援用することで,例えミクロな分析単位であったとしても,従来の分析と比べて容易にかつ短時間での分析を可能にしたことである.二つ目は,アクセシビリティ指標と土地利用,用途地域,人口が,全体傾向として高い相関を持つことを確認し,それらの特徴を示し得たことである.三つ目は,それらの関係において,全体傾向とは異なるエリアを抽出し,その要因をある程度明らかにしたことである. 本年度行った分析は,本研究の全体の中では基礎的研究として位置付けられるものであり,首都圏鉄道計画支援システムの有用性を示し,鉄道計画および沿線地域計画への適用の可能性を明示する上ではなくてはならないものである.なお,これら成果を,来年度(平成14年度)の土木学会での発表することを予定している.
|