研究概要 |
非イオン界面活性剤化合物の単成分系水溶液の吸着特性については,まず,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)系とポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)系の計21種類の化合物を対象にした吸着容量実験を行い,1)APE系とAE系化合物の活性炭への吸着性が高く,吸着等温線はFreundlich式によって表されること;2)付加EOモル数の増加に伴う分子量とH.L.Bの増加につれてモル濃度基準のFreundlich係数Kの値は減少するが、質量濃度基準のKの値は殆ど変化しないこと;3)平衡濃度が低い領域(<1mg/L)における吸着容量はOPE>C_<16>AE>NPE>C_<12>AE>C_<10>AEの順となること;などの知見を得た.次いで,非イオン界面活性剤の混合水溶液における吸着容量特性を調べるため,NPE系の化合物5種類(NPE_2,NPE_5,NPE_<10>,NPE_<15>,NPE_<20>)を用いた吸着実験と数値解析を行い,1)質量濃度基準による混合化合物の合計吸着等温線は構成化合物の初期濃度や混合条件によらず対数プロット上でほぼ一本の直線に収束し,単成分系のFreundlich吸着等温式により評価できること;2)質量濃度基準による吸着容量特性は各々の化合物のモル濃度基準による吸着強度の大小と混合水溶液での初期質量濃度割合に支配されること;などを明らかにした.さらに,NPE系の化合物5種類(NPE_2,NPE_5,NPE_<10>,NPE_<15>,NPE_<20>)を対象に,非イオン界面活性剤の固定層吸着における破過特性を検討し,1)陰イオン系のDBSに比べて,NPE系の方が破過開始時間が遅く,吸着されやすいこと;2)流入濃度や通水速度などの操作条件がほぼ同じの場合,NPE系化合物の破過挙動は付加EOモル数にあまり依存しないこと;3)液境膜物質移動・表面拡散と細孔拡散の並列拡散モデルは検討した界面活性剤の破過挙動を表現・予測する上で有効であること;などを示した. 非イオン界面活性剤の吸着除去に与えるフミン質などの天然有機物(NOM)の影響をNPE_<10>を用いた吸着実験より検討し,1)NPE_<10>の吸着容量の低下は混合溶液におけるNPE_<10>とNOMの存在割合に左右されること;2)吸着性の強いNPE_<10>の影響を受けて,BOMの吸着容量も低下し,その度合はNPE_<10>の濃度が高くなるにつれて大きくなること;3)カラム吸着におけるNPE_<10>の破過がNOMの影響を受けて早くなり,その影響は凝集処理後に残存するNOMの方が大きいこと;などを明らかにした.また,NOMの影響機構を検討するため,細孔分布の異なる活性炭を用いた吸着実験と数値解析を行い,1)フミン質を中心としたNOMの吸着効果は細孔径が3-10nmの細孔容積が多い〜活性炭の方が高いこと;2)フミン質の影響は吸着サイドの競合とフミン質による細孔閉塞の両機構の働きによること;3-10nmの細孔容積が多い活性炭を用いること;などを明らかにした.
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