研究概要 |
都市・地域レベルでのマテリアルフロー分析の推計方法として,まず,都市のマテリアルフローの大部分を占める都市構造物を対象として推計を行った.都市構造物の中で,都市の大部分を構成する道路孝建築物をマテリアルフローの推計の対象として選定した.また,推計対象国は統計情報が入手可能であった次の5カ国:ドイツ,イギリス,アメリカ,韓国,日本を取り上げデータの収集及び推計を行った. まず,都市構造物のマテリアルフローを推計するためには,建築資材に関わるマテリアルフローの定量化を行う必要がある.そこで,各国におけるアスファルト混合物,鉄,セメントコンクリート,木材の4資材について,資材生産量あたりのDMI(直接資材投入量:Direct Material Input), HMF(隠れたフロー:Hidden Material Flow)を時系列で推計した.その際,原料採取,輸送,製造過程を調査し,各段階で必要となる原料とエネルギー消費量を推計し,建設資材のマテリアルフローを定量化した.次に,各国における都市構造物の道路と建築物の建設に必要である資材量を調査し,本推計で求めた資材原単位を乗じて都市構造物の建設に必要な総物質必要量を推計した.さらに,道路ストックについては時系列でデータが収集できたため,道路建設に必要な総物質必要量を時系列で推計し,道路が生み出すサービスとの比較を行った.都市構造物における一人あたり総物質必要量(TMR)は,最大:イギリス5.880トン/人/年,最小:日本4.446トン/人/年となった.またHMFも含めた日本の海外依存度はイギリスの約1.8倍になり,日本での建設行為が他国に比べ海外に及ぼす影響が強いことが明らかになった.
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