| 研究概要 |
今年度は,以下に示す2つ内容の研究を行った。
1.テンション材補強ラチスシェルの張力導入解析法に関する研究
単層ラチスシェルに単位張力安定グリッド構造およびケーブルを導入することによってラチスシェルを補強する。本研究では,補強されたラチスシェルの張力導入過程を,(1)グリッド構造の束材にジャッキを挿入することによる単位構造への張力導入,(2)ケーブル端部を引き延ばすことによる全体構造物への張力導入,と想定する。線形解析による過程(1)と過程(2)における釣合方程式を定式化し,指定された張力を導入するためのジャッキ量とケーブルの張力を決定する方法を示した。
2.テンション材により補剛された圧縮材の座屈性状に関する研究
本研究では,テンション材により補剛された圧縮材を取り上げ,数値解析及びモデル実験との比較を行い,圧縮材の座屈挙動を調べている。テンション材を用いた補剛システムの有効性を検討するために,幾何学的非線形解析を用いて座屈解析を行うことにより,束材及びテンション材の配置,束材の長さ,テンション材の軸剛性(断面積)及び初期張力は座屈荷重に及ぼす影響を調べ,圧縮材の座屈性状を解明する。幾つかのモデルの座屈実験結果を用い,補剛効果を検討すると共に数値解析との比較を行う。数値解析結果及び実験結果から補剛された圧縮材の座屈荷重が大幅に増加することが分かった。補剛システムの有効性が確認された。
(株)佐々木睦郎構造計画研究所及び(株)高周波熱練が座屈実験を実施した。
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