既存の計測装置(2chのFF1アナライザ、制御コンピュータ)を用いて、自由空間において音響インピーダンスの測定システムを製作した。今年度は、これらの計測装置を用いて、実験室内で測定システムの妥当性について検討した。高い吸音率をもつ代表的吸音材のグラスウールを用いて計測した結果、音源から試料表面までの距離を30cm、直近のマイクロホンから試料表面までの距離を数cm、試料面積を1m^2以上とすれば、300Hz以上の周波数領域で、妥当な計測結果が得られた。低い吸音率についてはカーペットなどの材料を用いて、来年度検討する予定である。 また、表面が不均質な試験体や大きな凹凸をもつ試験体の性能評価についても行った。性能評価方法としては、試料全体を平面的にある面積で分割し、その分割された領域についてそれぞれ音響インピーダンスの測定を行い、各測定結果を面的に平均する(各音響インピーダンスの逆数を加算し総合的な音響インピーダンスの逆数を算出する)ことを用いる。この場合、その分割面積すなわちひとつの音源位置で測定結果に及ぼす測定対象有効面積が必要になるので検討した。その結果、試料表面から音源位置を45cm、受音位置を数cmとした場合、測定対象面積は120cmとなり、半径約6.2cmで分割すれば良いことがわかった。来年度は、実際の吸音パネル等で、この性能評価方法の妥当性を検討する。 屋外でも使用できる、小型のFFTアナライザとPCを購入したので、来年度は今年度得られた実験室内での知見を元に、現場計測用のシステムを構築する。
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