木質系建設廃棄物を用いた調湿システムを開発する上での基礎的データとしての建設廃棄物の将来発生量を把握するため、以下の2つの検討を行った。 1.全国を対象とした推計 伊香賀による将来床面積推計値及び小松らによる建築物の寿命分布関数を用いて、構造別建築物の解体床面積の推計を行った。また、この結果に木くずの発生量原単位を乗じることで、全国の木質系建設廃棄物の将来発生量の予測を行った。 2.地域特性を考慮した福岡県を対象とした推計 まず、固定資産概要調書から、福岡県の97市町村毎に、5年間の築年別現存床面積のデータを抽出し、区間残存率推計法により木造及び非木造建築物の残存率の離散値を求めた。また、得られた残存率の離散値を対数正規分布にあてはめ誤差二乗最小となるパラメーターの同定を行った。この結果から、都心及び都心近郊の平均寿命は40年前後であるのに対して、過疎化の進む地域の平均寿命は60年から80年と極めて大きな値となった。 次に、過去5年間における県内各市町村の人口及び床面積のデータから、1人当たり床面積変化率に関する重回帰分析を行い、人口変化率及び1人当たり床面積を説明変数とする推計式を求めた。この1人当たり床面積の推計式と将来の人口推計データから、将来床面積の推計を行い、橋本の手法に基づき、将来の建築物の解体床面積の算出を行った。更に、解体床面積に木くずの発生量原単位を乗じる事で、福岡県内の地域ごとの木質系建設廃棄物の将来発生量を求めた。 この結果から、木質系廃棄物の発生量は将来にわたり増加を続け、福岡県全体では2020年には2000年時点の約1.5倍の発生量となる事が明らかとなった。
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