今期は大きく分けて理論解析と計測制御システム構築作業の2つを行った。 (1)理論解析 既に開発された動的最適化プログラム(時々刻々の最適な空調のon-offスケジュール、およびon時の最適負荷率を算出するもの)に改良を加え、空調機容量が小さいときでも安定的に最適解が算出されるようにした(各時刻ステップにおいて、計算を行う離散メツシュ点の実行可能・不可能を計算するだけでなく、実行可能・不可能の境界線を算出するようにした)。 この改良を行った後、空調機容量を変化させた場合の年間最適化計算を行って、空調機容量と最適化された年間消費エネルギー、年間ピークエネルギー、(電力)、エネルギーコストの関係を把握した。その結果、ビルマルチパッケージ方式の場合、容量を減じても、最適化された年間消費エネルギーは特に改善されないが、現在行われている運転(日中の在室時間のみ一定温度で制御)に比べれば10%程度の省エネルギーが可能であることが分かった。また、年間の電気料金は、通常の容量と比較して2/3程度の容量とした場合に最小化され、主として電力ピーク(契約電力および基本料金に影響)の相違が原因であることを明らかにした。これらの検討結果は、これまでの研究成果と併せて論文(ASHRAE Transactions)に投稿し採用された。 (2)計測制御システムの構築 来年度に開始する実機を用いた制御実験に向けて、計測制御システムの構築を開始した。対象室、隣接室、外気の温度を測定し、予め測定された空調機の部分負荷特性を用いてオンラインで最適(あるいは準最適)な設定温度を計算、空調機の設定温度を自動変更するシステムで必要機材の購入と、計測側の一部システム稼動を開始した。
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