タスク・アンビエント空調システムの使用が温熱快適性、知的生産性の向上につながるか検討することを目的に「関東学院大学次世代型空調システム性能試験室」において被験者実験を行った。実験中は、室内の温熱環境測定、温熱環境調査票による被験者個人の調査、温冷感、乾燥感、環境受容度の申告、知的生産性の測定としてPAB作業、内田クレペリンテスト・テキストタイピング、NASA-TLX、自覚症状しらべ、CENTEによる音声の疲労感の調査、生理量の測定として皮膚温の測定を行った。まず全員にdefault条件を設定し、TACを使用したTAC条件と比較するためにdefault条件と同条件であるstandard条件を行った。被験者にはdefault条件とstandard条件もしくはTAC条件に参加してもらった。実験に参加した被験者は健康な大学生年齢の男性38名、女性23名で行った。 本実験からTACが執務者に与える影響について、以下のことが明らかになった。 1)ディフューザ調節率、コントローラ平均使用位置の結果から、被験者はタスクユニット使用許可から好みの位置を調節し、その後は微調整程度にしか変化させていない傾向が見られた。 2)温冷感申告から、standard条件では「寒い-不快」側に申告が移動していたが、TAC条件では解消され、快適側に移動する傾向が見られた。 3)作業成績調査結果から、条件間では差はなく、このことから気流が知的生産性に与える影響は少ないといえる。 4)自覚症状しらべにおいても、被験者群の差と思われる影響は見られたが、空調条件による差は見られていない。 5)皮膚温測定については、各条件において比較すると各部位の差は見られず、ディフューザの気流が皮膚温に与える影響は少ないと思われる。
|