本研究は生活スタイルでどのくらい室内空気質および居住者の化学物質の暴露リスクがどのように変化するか明らかにすることを目的とする。本研究は日本農林規格で定められている合板の等級の変化と換気の運転状況などの生活様式によって家族各々がホルムアルデヒドをどのくらい体内に取り込められるか算出し、これらに基づくホルムアルデヒドのリスク値を明らかとする。延床面積129平方メートルの4人世帯住宅を対象に、合板の等級や換気方法を変えた場合の家族ごとに1週間どのくらいホルムアルデヒドを呼吸で胎内に取り込むか、取り入れホルムアルデヒド量を求める。家族それぞれの在宅時間は空気調和・衛生工学会の生活行為パターンより求める。計算対象の壁、床、天井を全て同じ構造用合板で作られており、窓の開閉は無く、機械換気設備が設置されているものとする。室内ホルムアルデヒド濃度は井上明生の気中濃度モデルを用い、ルンゲクッター法により3週間の1時間ごとの室内濃度を算出する。計算ケースは機械換気を常時運転した場合、在宅人数により風量を可変した場合、昼間弱運転の場合、昼間停止運転の場合の4ケース行う。取り入れホルムアルデヒド量は機械換気が常時運転している場合の母親の量で基準化し、取り入れホルムアルデヒド量とリスク値がリニアの関係がある前提で、換気方式および家族のリスク値の違いを明らかとする。計算の結果、在宅時間の短い父親は、ほぼ一日中在宅している母親よりも約4割リスクが低く、子供は母親よりも約3割リスクが低い傾向がある。またFC0合板と比較して、FC1合板は約3倍、FC2合板は約9倍リスクが増加する。今回の算出結果では換気方式による違いは少なく、昼間弱運転の換気方式が一番リスク高く常時運転型の換気方式よりも4%リスクが増加することが明らかとなった。
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