本年度は、前年度に引き続き下記の内容を進めた。 本研究は、現代の都市型キャンパスの計画理論を構築するため、これまでに計画されてきた海外ならびに国内の近代的大学キャンパス計画の実態とその実践形態をデータベース化して整理・応用することが目的である。データベース化にあたって、キャンパスの配置図を中心に、計画項目の関連を主題とした。 アルゴリズムの発展 キャンパスマスタープラン図面の収集を収集し、作成したデータベースに対して、データベースの中核となる配置図に関する分析手法として、配置図の幾何学的な建物どうしの距離関係を把握できるように、ランダム点法による障害物つき最短距離計測のアルゴリズムの開発を前年度に引き続き行った。 アルゴリズムはランダムな点を手がかりに、最短距離を求めるまったく新しいタイプのもので、複雑な平面を持つ建物における避難シミュレーションや、建物内の人口分布を考慮した建築計画手法などに応用できる。 アルゴリズムを実用ベースに乗せるため、処理方法を便宜的に近似できるように、ドロネイ網を利用して点の数を少数化できる手法も開発した。これにより、処理速度を飛躍的に向上し、より複雑な現実の建物のプランにも応用し、分析することが可能となった。今後はさらに精度を上げるような操作もアルゴリズムに組み込みたい。 このアルゴリズムは数理的に一般解法を持たない問題を便宜的に解くことができるため、他の研究分野への応用も可能である。
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