21世紀を迎えた現在、社会や産業とともに巨大化したシステムとして出現した「都市」を制御するために、専ら硬直した法令、マニュアルに頼って都市空間の均質化をすすめ、制御が利かない場合には無秩序な開発を見過ごしてきた傾向が見られる。その結果、都市設計は画一化もしくは混乱の方向へ誘導され、没個性的な環境空間で埋め尽くされる状況となっている。 そこで、本研究では建築集合体の設計問題をまとめ、建築集合体設計を歴史的に展望している。なかでも、オランダの都市再生問題をとりあげ、社会資産の形成とその継承的発展のために必要な設計システムが社会的に認知され、それが具体的な成果を上げてきていることを把握しつつある。そして同時に建築集合体の設計プロセスを対象に環境設計のための設計問題としてとらえ、関連既往研究を行い、設計プロセス研究の一端として本研究の意義と視点を位置づけた。そのうえで、建築集合体の現在の問題点を明らかにして複数設計者の参加による建築集合体設計の現代的息義を論じている。具体的には設計調整方法の枠組みに関する考察をすすめている。建築集合体を構成する建築物や都市基盤を統合して、複数の設計者が一体的に建築集合体を設計するために、必要と考えられる設計調整方法を明らかにしようとするものでる。そこで協働設計方式の設計事例を対象に設計プロセスの構成を調べている。特に建築集合体の<集合モデル>と<建築集合体の構想>の内容や、協働設計の枠組似ついての考察を行っている.その結果、建築集合体の構想や集合モデルの具体的内容を把握しつつある。
|