研究概要 |
1.研究方針の決定 研究全体の方針決定を行った。マルチエージェントを用いた人工社会研究における現在までの成果と問題点を抽出し,その原因が人工社会モデルという複雑なソフトウェアの開発プロセスに起因することを述べた。そこで,近年のソフトウェア開発手法であるオブジェクト指向分析・設計を軸とした,漸進的な研究開発プログラムを構想した。プログラムの中で最も重要な部分である対象の概念化の方法に関しては,オントロジーを用いた明示的な概念化方法により,透明性・継承性のあるモデル化を目指すことに関して述べた。 2.シミュレーターの設計 1.のフレームワークに基づき,オブジェクト指向の標準モデリングツールであるUMLを用い,シミュレーターの基本設計を行った。シミュレーターは大きく分けて,イベント管理,同期処理,メモリ管理,並列分散処理などの基盤的な処理を行うシステムレイヤと,具体的な対象をモデル化するアプリケーションレイヤに分類される。特に,前者の部分に関してエージェントシステムを意識しつつシステム設計を行った。 3.都市の土地構造モデルのエージェントモデル化 シミュレーターに必要な要件を洗い出し検証を行う対象として,都市構造理論のモデル化をシミュレーター開発と同時並行的に行い,シミュレーションを行った。都市構造理論には同心円モデルやセクターモデルなどがあり,これらをエージェントモデル化するために必要な概念の洗い出しを行い,オントロジーを抽出し,XML形式でまとめた。
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