本年度の研究実績は以下の3つである。 1.まちづくり協定の実態と役割、まちづくり支援の課題の解明 協働型まちづくりの手法に関する基礎的研究として、地方都市の中心市街地を対象として「まちづくり協定」を抽出し、その実態に関して調査・分析を行った。その結果、「協定締結の主な契機と目的」「協定の空間整備の方針と運営組織の体制」からまちづくり協定の実態を明らかにした。次に協定の役割に関して、地区住民と専門家、行政が協働してまちづくりを進める仕組みを明確にし、協定地区内に存在する様々な空間整備計画を連結する役割をもつ、ことを明らかにした。 そして、協定に基づくまちづくり支援手法の重要な点を以下の様に明らかにした。(1)住民・専門家・行政が協力する協定の運営体制を明文化して定める。(2)協定の運営組織が、地区内の計画建物や様々な空間整備計画に関して協議する。(3)協議の司会は専門家が務め、協議を行う上では協定書以外に具体的なテザインを示す協議ツールを使用する。 2.目標空間イメージの編集によるまちづくり協議ツールの開発 すでに開発済みの「建替えデザインゲーム」を住民主体のまちづくりが行われている福島県二本松市竹田根崎地区において実施し、住民が描く空間イメージを収集した。そしてその空間イメージを編集することで「まちづくり協議ツール」の開発を行った。結論は以下の通りである。(1)収集した空間イメージの共有度と連関について明らかにし、それを基にして目標空間を具体的に示す「イメージタイプ」というまちづくり協議ツールを開発した。(2)イメージタイプは、一連のまちつくり支援手法を継承した方法で使用することにより、目標空間として住民に共有される。 3.支援手法を継承した「建替えデザイン協議」の実施 一連のまちづくり支援手法の実施によって協定が締結された二本松市竹田根崎地区において、イメージタイプを使用した建替えに関する協議を実施した。
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