研究概要 |
本研究は権力が発令する法令と,実際に行われた建設活動の内容を比較検討することで,法令の意図と運用実態を明らかにすると同時に,様々な環境にある近世寺社建築及び寺社境内が有する形態や利用方法の意味を検討し,権力との緊張関係の中で行われた一連の建設プロセスについて考察を加えることを目的とし、2年計画で実施する。 研究計画の第1年次にあたる平成13年度は、史料収集と既入手史料等の整理に重点をおいて以下の3点を実施した。(1)機器の購入:調査活動特に建築物及び史料の記録整理に必要な写真器材(銀塩カメラ及びデジタルカメラ)及び史料整理用のコンピューターの購入。(2)史料調査:都内に所在する史料の所在調査を中心に実施。加えて、以前に実施済の建造物調査の内容を図化した。(3)既入手史料及び関連先行研究の整理。 以上、今年度は史料収集を中心に実施したため、直接の研究成果の発表を行っていないが、そこで得られた史料の一端は、研究申請者の著作(『近世寺社建築とその建築』、中央公論美術出版、平成13年11月)で用い、また、平成14年度以降に出版が予定されている論文の執筆を行った(仮題「近世寺社の様相」、『建築・都市・歴史』叢書シリーズ、東京大学出版会、に収録予定)。
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