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本研究の目的は、中国の特別行政区における旧植民地時代の歴史遺産に関する保存政策とその実施内容について考察する事により、従前の主導権からの移動によって見られる二国間治世について対置しながら、今後、一国二制度の中でどのように都市構造が変更されうるのか、または、見通されているのかを明らかにすることである。そこで、本研究では今世紀末の香港とマカオの二つの中国返還から、特に建築遺産が数量的に多く都市構造の基盤をなしているマカオを調査の対象とした。
平成13年度の主な調査・研究は、既往の研究や資料の収集及びその整理と分析、そして成果の作成と発表であった。以下に、調査項目を示す。
(1)各関係機関や図書館での資料の複写収集。
(2)マカオ文化学会への資料提供の依頼と整理。及び、担当者への聞き取り調査。
(3)当該研究に関する国際シンポジウム(アジア近代建築ネットワーク・第3回歴史的建造物の構造的解析に関する国際研究会)での発表。
本年度の研究により、以下の成果を得た。
(1)日本に所蔵される資料の整理状況の調査を行い資料の現状調査を完了した。また、近年マカオで盛んに整理出版されている資料と新たにマカオで整理された公開資料の調査を行った。
(2)現地機関の保存工事対象物件選定のための基礎調査リスト・過去に著者が行った悉皆調査リストを元に、保存修復の現状調査を行った。また、その工事経緯などについて、担当者への聞き取り調査を行った。
(3)上記、シンポジウムに、これまでの調査段階で得られた内容について論文を提出し、発表した。
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