超音速フリージェットCVD法による、シリコン(Si)および立方晶シリコンカーバイド(3C-SiC)を利用した共鳴トンネルダイオードについて研究した。3C-SiCおよびSiの形成には、それぞれモノメチルシランおよびトリシランガス用い、パルスフリージェットとして基板に照射した。はじめに極薄3C-SiC薄膜上へのSi-dotの成長について検討した。Si基板上に膜厚3ナノメートル以下の3C-SiCヘテロエピタキシャル薄膜を形成し、さらに3C-SiC上にトリシランガスのフリージェットを照射することにより、直径約20ナノメートル、高さ数ナノメートルのSi-dotが形成可能であることがわかった。次に3C-SiCをバリアー層、Si-dotを量子井戸層とした3C-SiC/Si-dot/3C-SiCドット構造による共鳴トンネルダイオードについて検討した。実験ではボロンをヘビードープしたp^+-Si(100)基板上にドット構造を形成し、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてホール電流-電圧特性を評価した。導電性のAFMティップをドット部分に接触させ負バイアスを印加することにより、およそ-1.5V付近において電流-電圧曲線にピークが現れ、微分負性抵抗(NDR)が観察された。量子井戸内に形成された閉じ込め準位および電流密度-電庄特性の数値計算を行った結果、観察されたNDRは、Si-dot内でのホールによる閉じ込め準位とSi基板のフェルミ準位との共鳴トンネル効果によるものであることがわかった。以上の結果は、超音速フリージェットCVD法による3C-SiC/Si-dot/3C-SiCヘテロ構造を用いた共鳴トンネルダイオードの形成が可能であることを示唆している。
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