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2002 年度 実績報告書

正20面体クラスター固体の光キャリア緩和の発光波長選択による解明

研究課題

研究課題/領域番号 13750620
研究機関東京大学

研究代表者

曽我 公平  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (50272399)

キーワード正20面体クラスター固体 / ホウ素 / 準結晶 / 光伝導 / キャリア緩和
研究概要

正20面体クラスター固体であるβ菱面結晶ボロン(β-B)とAlPdRe準結晶について光励起によるキャリアダイナミクスの解明を目的として変調(MPC)およびパルス(PPC)光伝導の測定を行った。光伝導はバンドギャップ間の電子の光励起による遷移によって生じる現象としてこれまで主に半導体において観測が行われてきたが、我々のグループでは準結晶合金においても疑ギャップにおける光励起による電流の増大が起こることを報告してきた。本研究においては薄膜状の準結晶試料を用いることにより測定のS/Nを向上し、これまで観測できなかった準結晶における光励起電流の温度依存性を観測した。その結果、温度の上昇に伴って光電流が増大するβ-Bとは逆に準結晶では温度の上昇と共に光励起電流が減少することが分かった。
準結晶試料は薄膜であり、また光励起によって生じる電流の増大に対して暗電流が大きいため、光励起による試料の温度上昇に伴うキャリアの増大が観測されている可能性があると考え、サファイア基板上の準結晶薄膜について熱伝導解析を行った。この結果、準結晶において観測される光励起キャリアの緩和特性はほとんど基板も含めた試料の熱緩和によって説明されることが分かった。一方β-Bにおいて励起波長を可変としたPPCの測定を行ったところ、1.5eVのギャップ内に0.2eV刻みで存在するトラップ準位で構成されるバンド構造と対応した光電流値の励起波長・時間依存性が観測され、β-Bの場合には主に一般的な半導体と同様な光電流が観測されていることが分かった。さらに、波長可変PPC測定により、β-Bの光伝導は、伝導帯への電子励起の後、トラップヘの高速な緩和とトラップから伝導帯へのゆっくりとした熱離脱が支配し、結果としてマイクロ秒オーダーから10000秒以上に渡る極めて広いキャリア緩和時間分布が観測されることが明らかになった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] K.Soga, Y.Suzuki, M.Takeda, K.Kimura: "Pulsed and modulated photoconduction on icosahedral Al-Cu-Fe quasicrystalline thin film"Journal of Alloys and Compounds. 342. 369-373 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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