研究概要 |
本研究は、バイオミメティック法による水溶液からのアパタイト薄膜合成とレジストパターン転写を組み合わせることにより、アパタイトのマイクロパターンを得ることを目的とする。本年度は、アパタイト薄膜の作成のための結晶核生成条件、結晶成長条件の探索、ならびにレジストパターンの転写方法について検討を行った。得られた知見を以下に示す。 (1)CaO-SiO_2系の生体活性ガラスとガラス基板を人の体液とほぼ等しい無機イオン濃度を有する擬似体液中で接触させると、基板表面にアパタイトの結晶核が生成する。生体活性ガラスの粒度、添加量、接触期間などを種々検討し、アパタイト核が基板上に高密度に生成する条件を明らかにした。 (2)アパタイトの核生成を誘起した基板を擬似体液中に浸漬して、アパタイト薄膜が形成する。擬似体液の組成、浸漬期間といったアパタイト結晶の成長条件と薄膜の形成状態の関係を解析し、アパタイト薄膜の膜厚などを制御するための条件を明らかにした。 (3)フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成したガラス基板上に、上記(1),(2)で得られた条件を用いて、アパタイト薄膜を形成した。薄膜形成後、有機溶媒によりレジスト材とその上に形成したアパタイト薄膜を除去することにより、基板上にレジストパターンを転写したアパタイトの微細なパターンが形成することが示された。得られたアパタイトパターンの最小線幅は2μmであった。直線やブロック、文字などの種々の形状のパターンがアパタイトがアパタイトにより形成した。
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