本研究ではこれまでに、異なる二つの粒径が存在する場合のサイトパーコレーションモデルについていくつかの静的な臨界指数とフラクタル次元を詳細に求め、本モデルが「弱いユニバーサリティ」であることを示したが、本結果についての投稿論文を準備している最中である。また、本モデルについての動的な性質を評価するためのプログラムコードを開発中である。 また今年度は、本モデルで使用する物性値を定量的に決定するための計算手法について考察を行った。実在する系の物性値を格子モデルシミュレーションで評価するためには、はじめに格子モデルの欠点(エントロピーの過小評価、歪みエネルギーの無視等の問題)を改善することが必要である。そのため今回は独自開発のポテンシャル繰り込み法を用いた。これは連続系で定義されている経験的ポテンシャルを、系の分配関数を変えずに離散系にマッピングする手法である。本研究では副格子分割の手法を用いて、格子モデルで使用するポテンシャルを評価した。はじめに本手法の妥当性を示すため、規則不規則変態を示す二元系合金のプロトタイプであるCuAu系について幾つかの物性値、および状態図を求めた。その結果、本手法が上述の格子モデルの欠点を改善し、実験値を再現するに妥当であるという結論を得た。本計算結果については3月末の日本金属学会春季大会において発表予定である。
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