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2001 年度 実績報告書

レーザービームプロセスにおけるナノ組織高機能窒化物薄膜の量子加工設計

研究課題

研究課題/領域番号 13750672
研究種目

奨励研究(A)

研究機関大阪大学

研究代表者

高原 渉  大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10252602)

キーワードレーザー照射 / 金属窒化物 / 分子軌道法 / DV-Xα法 / 高密度プラズマ / 共有結合 / イオン結合 / 超伝導
研究概要

大出力のパルスレーザー光を金属に照射すれば,その表面にナノ組織超伝導窒化物を形成できる.Ti, V, Zr, Nb各金属での窒化物形成能の照射強度依存性をみると,周期表との対応関係が認められる。そこで各金属種の電子状態と窒化物形成能との関連を探るため,レーザー加工現象を分子軌道論の立場から検討した.原子状金属と原子状窒素からなるクラスターを想定して,高密度プラズマ状態のうち,特に高密度状態の化学的環境を考察するため,原子間距離を短くしたときの化学結合性の変化をDV-Xα分子軌道法により調べた.金属-金属間,金属-窒素間の共有結合性は,原子間距離が短くなると減少する方向に転じるが,その変化の仕方は各金属種ごとに異なる.すなわち原子間距離が近づくと,遷移元素間の化学結合性の差異がより大きくなる.また,電荷の偏りという点では,どの金属種でも原子間距離が短くなるとイオン結合的になるが,周期表の横の元素間を比較すると,より左側に位置するTiとZrでその傾向がより顕著となる.レーザー照射では,VとNbでは,V_2NとNb_2Nを経てからNaCl型のVNとNbNが形成され,一方,TiとZrでは,最初からNaCl型のTiNとZrNが形成される傾向がある.高密度状態では,TiとZrで金属と窒素の電荷の偏りがより強く現れるため,結果的にNaCl型構造となる傾向が強いことが考えられる.このように,レーザー照射による金属窒化物形成という極限的材料プロセスであっても,それを分子軌道論的立場で検討することが,現時点でも十分に可能でありまた有用である.現在,分子軌道法は電子状態計算の一手法という位置付けであるが,その基本思想は,物質は原子から成る,という単純明快なものであり,もっと多くの事象を分子軌道論的立場で捉え直すことが可能であると考えられる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 高原渉, 山内俊寛, 南二三吉: "レーザービームプロセスにおける遷移金属窒化物薄膜形成の量子加工設計"第45回日本学術会議材料研究連合講演会講演論文集. 84 (2001)

  • [文献書誌] 高原渉, 南二三吉: "DV-Xα分子軌道法による金属系超伝導体の化学結合性評価"8th Symposium on "Microjoining and Assembly Technology in Electronics", Mate 2002. Vol.8. 371-374 (2002)

  • [文献書誌] 高原渉, 前田博司, 南二三吉: "ラーベス相V_2Zr化合物の電子状態と超伝導転移温度"DV-Xα研究協会会報. Vol.14 No.1. 52-56 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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