研究概要 |
本年度の研究では,ボールミルによるWC粉末の微細化を試みると共に,この粉末の泥漿調製条件を確立した.また,小型の金型を使用して高速遠心成形を行い,成形条件が成形体の特性におよぼす影響を明らかにすると共に標準成形条件を定め,さらにその成形体の焼結性を評価した.以下に結果を示す. 1)公称粒径が約1μmのWC粉末をポールミル粉砕すると,初期には主に二次粒子(aggregate)が粉砕されるために,粒径分布の広がりがないままに平均粒径は小さくなる.一方,粉砕時間を長くしすぎると,一次粒子(単粒子)自体が粉砕され始め粒径分布が大きくなっていく.4daysの粉砕時間で,平均粒径約0.35μmで比較的粒径分布の小さいWC粉末が得られる. 2)上記WC粉末は,分散媒として33mass%のヘプタンを使用し,分散剤としてソルビタンモノステアレートを0.7mass%加えた泥漿で最良の泥漿状態となる.粉末と媒の比重差より完全懸濁状態とはならないが,粒子沈降速度が十分に遅いために,高速遠心成形法用の泥漿として使用することが出来る. 3)上記泥漿を,φ8×90mmのチョーク型キャビティを持つ金型に注入し,ロータ半径120mmの遠心機で回転数5,000rpm,保持時間30minの条件で成形すると,高さ約15mmの成形体が得られる.成形体の粒子充填率は約55%であり,成形体の大部分で均質な粒子充填状況が得られている. 4)高速遠心成形法によるWC成形体は,焼結助剤を含んでいないために通常のWC材より高い焼結温度が必要だが,1873K×3hoursの真空焼結で相対密度ほぼ100%まで緻密化する. 以上より,本年度の研究で高速遠心成形法をWCメカニカルシールに適用するための基本的データが得られた.
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