本年度研究計画である超イオン伝導体の高温NMR測定を行い、以下の新しい知見を得た。 (1)新規複合酸化物系Mgイオン伝導体、Mg_<0.7>(Zr_<0.85>Nb_<0.15>)_4P_<6>O_<24>、Mg_<1.4>Zr_4P_6O_<24.4>+0.4Zr_2O(PO_4)_2コンポジット、ならびにMg_<1.1>(Zr_<0.85>Nb_<0.15>)_4P_6O_<24>+0.4Zr_2O(PO_4)_2コンポジットについての^<31>P核NMR測定を行った。室温から1300℃までの範囲下でスピン-格子緩和時間(T_1)の測定、及びNMR線形の変化を観測した。NMR緩和時間の挙動をこのような高温まで解析することにより、この系での高い電気伝導(800℃で10^<-2>Scm^<-1>程度)をイオンの運動性から解析した。この系ではMgイオンの非常に速い運動によりイオン伝導が起こっていることが確認された。 (2)新規酸化物系高温プロトン伝導体、Sr-doped LaPO_4(Sr=0-7mol%)の^1H核及び^<31>P核NMR測定を行った。この系での速いプロトン移動は、リン酸陰イオンによる欠陥の生成と密接に関係している。^<31>P核NMR測定により、欠陥としてこの物質中にP_2O_7^<4->イオンが存在していることが明らかになった。また、その量のSrイオン濃度依存性を決定した。一方、水蒸気分圧、ならびに酸素分圧依存性から、水素が、水蒸気とP_2O_7^<4->イオンとの間の平衡反応により取り込まれるとするモデルで伝導度の変化がうまく説明できることがわかった。
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