共晶合金の協調成長(カップルドグロース)に対する、晶出相間の比重差および対流・成長方向の影響を検討した。 装置は、当該研究のために新たに開発した「有機物用縦型帯域溶融結晶成長装置」および「その場観察装置」を用いた。 対流は、協調成長における溶質再分配の質量流束よりも1000倍以上大きい質量流束を有することが分かった。晶出相間に比重差がない場合は、対流は、晶出相の間隔を短くする傾向が確認された。 晶出相間に比重差がある場合は、重力方向と反重力方向の一方向凝固組織に、差が生ずることが確認された。特に、irregular faceted/nonfaceted共晶系に分類され、なおかつ晶出相間に比重差がある場合は、凝固組織は成長方向の影響を受ける。その理由は、irregular faceted/nonfaceted共晶系ではマクロ界面が平滑ではないため、regular系におけるlateral diffusionのみなく、成長方向の溶質拡散、すなわちvertical diffusionが必要となる。結果として、液相の平均比中よりも比重の大きい溶質成分は、反重力方向への拡散困難となり、逆に比重の小さい溶質成分は、重力方向への拡散が困難となるためと考えられる。
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