今年度は化学バッチプロセスにおける分散型スケジューリングシステム構築のため、まず以下のようなバッチプロセスに関する標準化に関連した調査・研究・開発を行った。 1 バッチコントロールの国際標準であるISA S88および化学プロセス産業の企業統合に関して現在議論中であるISA S95に関する動向について調査を行った。 2 S88にもとづいたシーケンス制御系とスケジューリングシステムの連携について考察を行い、バッチスケジューリングの一実現形態をオブジェクト指向分析によって考案した。 3 上記2にもとづいたスケジューリング用データ構造を定義し、バッチスケジューリングシステム構築の際に雛型となるオブジェクトフレームワークを開発した。 4 開発したフレームワークにしたがってシステムを実装することにより、バッチスケジューリングに求められる制約が変わった場合にも、システムの再構築が容易であることを簡単なケーススタディを用いて検証した。 また、こうしたバッチスケジューリングのモデル化に関する研究と並行して、分散協調型スケジューリング手法に関する以下の研究を行った。 ○バッチユニットごとに自身に関するスケジュールの最適化と他ユニットとの情報交換を繰り返すことによって、プロセス全体として整合性があり準最適なスケジュールを導出する分散型スケジューリングのための情報交換プロトコルとアルゴリズムを設計した。 これらのバッチプロセスを対象とした分散型スケジューリングの要素技術に関する研究により、システム実装の目処がついたものと考える。よって次年度は、実際に複数の計算機上に分散型スケジューリングシステムを実装し、それらと連携するPDA端末のGUI構築を行う予定である。
|