研究概要 |
エアロゾル計測技術(微分型のモビリティアナライザ(Differential Mobility Analyzer/DMAおよび凝縮核計数器(Condensation Nucleus Counter/CNC)にエレクトロスプレーイオン化法(Electrospray-Ionization/ESI)を組み合わせた分子量分布の計測手法を開発し、性能を検討することを目的とした。ESI装置の改良により,液滴サイズをサブミクロンから数10nmオーダまで減少させ、スプレー状態の安定性およびイオン状物質の生成速度を増やし、得られたモビリティ分布より高分子の分子量分布を得る、などこれらの課題について実験的に検討した。 具体的には、(1)現在大きさが約1nmまでの計測が可能なDMAの分級部の長さなどを改良し、サブナノメータオーダのクラスターの静電分級が可能なアナライザを設計し製作した。(2)エレクトロスプレー装置を試作した。まずノズルとして内径が数10μmの導電性をもったシリカチューブを用いた。高分子を溶媒に溶かした試料溶液をノズルに供給し、ノズルに直流電圧をかけ、試料溶液をスプレーさせる。気相中に生成された液滴から溶媒が蒸発し、液滴に含まれていた高分子(イオン)を検出部に導き、その電気移動度(モビリティー)分布を測定する。 予め既知の分子量を有する試料(ある種のタンパク質または標準高分子が含まれている溶液)を用いて、発生したイオンのモビリティー分布と試料の分子量との相関を行った。試料のスプレー状態を変化させたときのモビリティー分布を測定した。これによってどのスプレー状態が安定で、最も適切であるかを明らかにした。
|