資源・エネルギー問題ならびに環境問題の観点から、工業乾燥プロセスの省エネルギー化を目指し、申請者らが提案したケミカルヒートポンプドライヤーの可能性の探究を行った。 13年度は、乾燥システムに最適なケミカルヒートポンプシステム用反応系ならびにその稼働モードの実験的、理論的基礎検討を行った。 1.TGによるケミカルヒートポンプドライヤー用反応材活性の検討 本ステップでは、ケミカルヒートポンプドライヤーに用いる反応材の反応工学的検討を行った。市販TGおよびケミカルヒートポンプドライヤー作動状態を再現できる改造密閉系TGにおいて、適用可能性の高い酸化カルシウム系および硫酸カルシウム系の反応活性の検討を行った。その結果、反応活性すなわち反応率、反応速度ならびに反応温度、反応熱量等を考慮して、400度レベルの熱源が確保できる場合および温度に直接関係しない電気、ガス等のエネルギー源が存在する場合には、酸化カルシウム系反応材が高効率に使用でき、100度レベルの熱源に対しては、硫酸カルシウム系反応材が蓄熱密度が下がるものの使用可能であることがわかった。 2.システム設計 高効率乾燥システムとして、1.で決定した反応材を用いたケミカルヒートポンプドライヤーシステムを、各種乾燥条件を考慮して熱力学的、乾燥工学的およびエネルギー工学的に検討して設計した。 3.ケミカルヒートポンプ実験および検討 本ステップでは、ケミカルヒートポンプドライヤーシステムのベースとなるケミカルヒートポンプドライヤー単体装置を2.において設計したシステムに基づき試作し、装置工学的に最適ケミカルヒートポンプ構築の検討を行った。本年度は基礎実験を行い、蓄熱されたエネルギーが、放熱過程において酸化カルシウム系では100℃レベルの熱風および0℃レベルの冷熱の同時生成が可能であり、硫酸カルシウム系では100℃レベルの温熱および5℃レベル冷熱の同時生成が可能であることが示された。
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